成年後見人証明書の英訳

先月、成年後見人証明書という書類の英訳+公証の依頼が初めて入りました。
成年後見制度は、2000年4月にかつての禁治産・準禁治産制度にかわって設けられたものだそうです(ドイツとイギリスの制度を参考にしたらしい)。成年としての判断能力が病気や障害等が原因で不十分である者を保護する目的で本人の法的な事務遂行能力を制限しつつ、本人のために法的行為を助ける者を専任する制度です。

後見人になるには、家庭裁判所に申し立てをします。諸々の書類を揃えて提出した書類が受理された後、裁判所の調査を受け、被後見人の精神鑑定が必要に応じて行われ、審判が下され、事実が登記されます。後見人には、当初の候補者ではなく弁護士や司法書士が選任されることもあるようです。法務省の成年後見制度のページに詳しい説明があります

こうして後見開始となるわけですが、後見人であることの証明書は、戸籍謄本や土地の謄本と同様、登記簿謄本の形をとります。当方では後見人証明書の翻訳依頼は初めてのケースでしたが、書類の内容はいたって簡素なものでした。記載内容は、「後見開始の裁判」の情報(扱った家庭裁判所、事件番号、裁定日、登記日等)、被成年後見人と成年後見人の氏名・住所・登記日等が記載されているだけです。

今回のケースは、海外の銀行に口座を所有していた方の親族からの依頼でした。当人が老齢で身体の自由が効かなくなったため、翻訳を依頼してきた方が代理人として当該口座を解約し、資金を日本の金融機関に送金するための手続きに必要な書類とのことでした。

翻訳自体はすぐに終わりましたが、その直後に、当該国(東南アジアのある国)には成年後見人制度に相当する制度が存在せず、この成年後見人証明書の英訳だけでは意味がわからないので、別途、弁護士にこの書類の内容を裏付ける文書を作成してほしいと現地の銀行の担当者から連絡が入った、と依頼人から相談を持ちかけられました。そこで、知り合いの弁護士に相談し、法的解釈(legal opinion)を意見書の形で作成してもらい、それを英訳することになりました。(弁護士が絡むことになったので、その分、費用がかなり嵩んでしまったようです!)

こうして、揃えることになった書類は、当該銀行の預金通帳、後見人と被後見人のそれぞれのパスポート、被後見人の英語の診断書、成年後見人証明書の原本と英語、その英語の公的な翻訳証明(外務省発行の翻訳証明)、それに弁護士の意見書とその英訳となりました。

当初考えていなかった書類が加わったため、依頼者が当該国に出発する日の前日の夜8:00に、最後の弁護士の書類が揃うという際どいスケジュールになってしまいました。(これには、弁護士は顔も知らない依頼者の仕事を引き受けられないということもあって ― そんな規則が実際にあるのかどうか知りませんが ― 依頼者が遠くから東京まで足を運ばなければならなくなったという事情もありました。)

海外とのやりとりは、何かと不測の事態が起こりますね。早め早めの行動と、念には念を入れる心がけが必要だと痛感させられます。 ◆

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です